実夏の あっ地こっ馳 紀行

ご注意;★このブログの登場人物はフィクションです。
■ 9月5日 小樽出帆 =セイル・アウェイ

 船内をうろうろしている間に、出帆の時間が近づいてきた。避難訓練を兼ねたセイルアウェイ・パーティーが、プロムナードデッキで始まる。キャビンに戻って、ロッカーの上にあるライフジャケットを着けた。夏実お姉ちゃんは、ライフジャケットの胸のところに制服のようなリボンを結んだ。そこまでおしゃれにこだわるか!
 弥生ママとさくらママがあたしたちのキャビンをノックした。
「うんうん、実夏、ライフジャケット似合ってるよ」
 救命胴衣が似合っているなんて、あまり嬉しくない。
「そうじゃなくて、台湾クルーズのときは子ども向けのライフジャケットだったでしょ。大人向けのジャケットが似合うほど成長したんだね」
「…あ、ありがとう」
 ここまで育ててくれて、という言葉は飲み込んだ。そういう言葉は、はるか先の結婚式までとっておかなくちゃ。
 にっぽん丸4階のプロムナードデッキは、小樽の岸壁の倉庫の屋根よりも高い位置だった。倉庫の屋根には「ようこそ小樽へ」と書かれていた。客船誘致に熱心なんだね。藤沢の片瀬漁港、負けられないぞ。「ようこそ」の文字の下では、太鼓が披露され、役所の職員が横断幕を持って見送りに来てくれていた。運河とオルゴール館にいる観光客も呼べばいいのに。小樽にとっても、にっぽん丸にとっても、クルーズ業界にとっても、絶好のアピールになると思うよ。
 デッキでは、お酒とジュースがふるまわれ、紙テープが配られた。夏実お姉ちゃんは、紙テープの芯を丁寧に外してから投げていた。倉庫の天井より高いデッキから直撃したら、たしかに危険だ。
「へぇ、意外と優しいんだね、夏実お姉ちゃん」
「じつはね、芯を抜いた紙テープ、投げてみたかったんだ」
「誰から聞いたの?そんな裏技」
「元・全キャン連のおじさん」
「なに連?」
「キャンディーズのファンクラブだよ。芯抜きテープは、全キャン連が始めたんだって。もちろん、ステージの蘭ちゃんたちに危険を及ぼさないためだって」
 ごめん、聞くんじゃなかった。
 ドラが鳴った。出帆5分前だ。スピーカーからマーチが流れた。お姉ちゃんは『暑中お見舞い申し上げます』をマーチふうにアレンジして、鼻歌で歌っている。ホーサーが外され、スラスターが回った。キャプテンがフライデッキに出てきた。
 マーチが『蛍の光』に代わった。思わずお姉ちゃんと顔を見合わせた。以前、客船の出帆のとき、短調の『蛍の光』は似合わない、って話を二人でしたことがある。セイルアウェイというわくわくする瞬間に、さみしすぎるよね。もっと、これから始まる船旅に向けた曲がいいよ。
 でも、そう『唯一、許せるのは小樽港だよね』と、そのときの夏実お姉ちゃん。まさか、本当に小樽港で『蛍の光』を聞くとは思わなかった。
「実夏、歌う?」
「うん。いいよ」
 イントロが終わって二人で声を合わせた。
「♪小樽の光 窓の雪…」
 いいじゃん。17歳でオヤジギャグ飛ばしても。

44DSCF5700.jpg
《「ようこそ」の文字の下では、太鼓が披露され》
尾花実夏☆ロシアまで*愛をこえて | トラックバック:(0) | コメント:(0) |permalink
■ 9月5日 小樽出帆 =リドデッキ
 プールがある屋上のリドデッキは、開閉式の屋根を開けて、北海道の秋の大気をとりいれていた。見上げると、高い空が見えた。なんと、プールも営業していた。さすがに、誰も入っていなかった。
「実夏、今回はちゃんと水着持ってきたよ。いつ着る?」
「え、秋の北海道だよ。行き先はサハリンだよ。風邪ひいちゃうよ」
「プールに入らなくてもいいんだよ。水着でプールサイドを闊歩すれば」
「遠慮しておくよ。お姉ちゃん、一人で着替えなよ。あたし、写真ぐらいとってあげるよ」
「おそろいの水着持ってきたんだよ。ギンガムチェックの。わたしがワンピースで、実夏がセパレーツ」
「ああ、あれね。って、なんであたしがセパレーツなの。やだよ、秋の北海道でおへそ見せたら、風邪じゃすまないよ」
 夏実お姉ちゃんは、今すぐにでも船室に水着を取りに行きそうだった。にっぽん丸のプールサイドには更衣室がないからやめようよ、といっても、トイレかエステサロンで着替えるというだろう。なんとかして、気を紛らわせなきゃ。
「お姉ちゃん、そんなことより、ほら、リドバー営業しているよ。ホットドッグとショコリキサー、あるよ」
「えぇ、航海中なら、いつだって食べられるじゃん」
「そう? このあとディナーとナイトスナックがあるんだよ。おなかいっぱいになって食べられなくなっても知らないよ」
「実夏! さすがだね。いいところに気付いたね」
あたしたちは、プールサイドのリドバーで、黒毛和牛のハンバーガーとショコリキサーを注文した。北海道の秋空を見ながら、にっぽん丸船内最初の食事をとった。よかった。秋の北海道で水着、着ないで済みそうだよ。
⇒ 続きを読む
尾花実夏☆ロシアまで*愛をこえて | トラックバック:(0) | コメント:(0) |permalink
にっぽん丸紀行再開!!

 その後は、船の中を二人で巡った。那覇や江の島で乗ったときと大きく変わっていなかったけど、しつらえ品は初秋のサハリン仕様になっていた。
 フロントロビーには巨大な、等身大のマトリョーシカが笑顔で出迎えていた。いくら巨大だからって、一人ぽっちじゃさみしくないのかな?って思ったら、4階のツアーカウンターに、同じデザインのマトリョーシカがぞろぞろと並んでいた。心配して損した。
 売店の向かい側の図書室は、北海道の物産展が開かれていた。おなじみの北海道銘菓も並んでいる。ジャガイモのような農産物もあった。こんなときの植物検疫、どうなるのだろう。ロシアのお土産は、売店のかわいいマトリョーシカのキーホルダーやストラップだけ。以上。ほかになし。チャイキャベちゃんや涼南センパイへのお土産は「白い恋人たち」かな「わかさいも」かな。小樽も札幌も観光していないのに…。

おみや
《チャイキャベちゃんや涼南センパイへのお土産は》

尾花実夏☆ロシアまで*愛をこえて | トラックバック:(0) | コメント:(0) |permalink
25,000分のチャコ=9 そして、海へ
こんばんは! チャコです
jダイヤ夏
地図の原点を求めて
東京都内をぐるぐる巡ったチャコ、
最後は、ゆりかもめに乗ってお台場に。

途中、
ゆりかもめから見た階段です。
丸全昭和運輸の倉庫の中。
keDSCF6744昭和
この辺りは埋め立て地なので
基本的にはぺったんこな土地のはずですが、
設計上、高低差が生まれることもあって
こんな微階段がみられることもあります。
もっとも、
鍵かかかっていて、入れそうもありませんけど。
そこまでして、入ろうともしませんけど。

テレコムセンター駅で降りて
おじ様たちと一緒に歩いていきます。
途中、こんな階段も。
keDSCF6746.jpg
埋め立て地の微階段は
今一つ迫力に欠けますね。

こちらは
東電の変電所へ行く階段です。
といっても、
今回は電気会社には何の用もありません。
keDSCF6747.jpg

行ったのは、そのさきにある
国土交通省青海総合事務所
の中にある、
海上保安庁の海図の部屋。
わ~い!!!

チャコたち御一行様は
地図も海図も大好きですから、
もう、宝の部屋です。
受けていただいた保安庁のかたも
そんな人が10人も来たから
ちょっとうれしそう…。

ちなみに、この機械
軽自動車ぐらいの大きさがあります。
歯車のような輪には
糸が一本通っています。
歯車はそれぞれ
月、地球、太陽の動きを表しています。
星占いの機械…
kkDSCF6820.jpg
…じゃなくて、
潮汐を計算する機械だそうです。
潮の満ち引きを、
こんな機械を使って計算していたようです。
1980年代前まで使っていたという話です。
コンピュータじゃないんですね。

これが
明治のころの函館
keeeDSCF6766.jpg

函館山のケバ表現が、芸術的です。
函館どっくのところにあったお台場や
谷地頭温泉のあたりのラグーンが
しっかり描かれています。

他にも、
東京湾とか、奄美大島とか
見ているだけで、時間が過ぎるのを忘れてしまいます。
5時の終業時刻を過ぎても
みんなで、海図談義をしていました。

電子的に一発でみられる地図ですが、
江戸時代から、いろいろな人が
少しでも正確に、わかりやすく描いていこうと
努力を続けてきたんですね。
◆×◇ チャコの階段物語 ◇×◆ | トラックバック:(0) | コメント:(0) |permalink
25,000分のチャコ=8 狸穴狸穴わお!
チャコです! おっはよぉ~!!

神谷町から飯倉交差点のほうに歩いていく
チャコと地図好きのおじさま御一行様です。
ちなみに、
一緒に歩いているおじさまたちは、
ただの地図マニアさんじゃなくて
れっきとした博士、学者先生です。

あ、一人学部卒がいた。

jダイヤ夏

坂を登っていきます。
右側から道が鋭角に合流します。
その歩道が、
ショートカットしながら高低差を稼ごうと
クランクに曲がり
階段を作っています。
iikura.png

いわゆる「A型」の階段ですが
さすが東京。
ちょっとあか抜けています。
keDSCF6721A-dan.jpg
歩道というより、公園みたいですね。

飯倉交差点を狸穴(まみあな)のほうに向かって右折します。
ロシア大使館があります。
小学生ぐらいの肌の白い女の子が
プラチナの髪をなびかせて、坂を上ってきます。
ハラショー!

そういえば、
実夏ちゃんのサハリン紀行、続き、書かないの?

おじさまたちは、ロシアの少女に見向きもせず
大使館の裏に進みます。

ロシア大使館の裏には、
アフガニスタン大使館と
アメリカンクラブがありました。
本国では一触即発の国が
麻布台の片隅で仲良く並んでいます。
スパイとかうようよしているのでしょうか?
いきなり
「イルクーツクの空は?」
なんて合言葉を聞かれたりしないかしら?

アフガンの大使館の先に
日本経緯度原点がありました。

ちなみに、
経緯度原点から台地を降りる階段です。
keDSCF6725経緯度

もとは、天文台があったところです。
グリニッジの日本版って言ったところでしょうか?

日本経緯度原点といえば
なんとなく、明石市にありそうな気がするのですが
ありませんよ。
明石市には、
日本標準子午線が通っているだけ。
しかも
明石市だけやないねん。
南北にずうっと、北極点から南極点まで
日本標準子午線やねん。
なんで似非関西弁やねん。

えっと
このバツ印の中心の経緯度が
めっちゃ細かく測定されてるっしょ。
keDSCF6729.jpg
さっきは、高さがめっちゃ細かく測ってあったけど
ここは、地球上の場所。
赤道から何度、グリニッジから何度離れているかを
細かく計測しているのです。

このバツ印の上で
おじさまがガラケーのGPSで測ったら
秒単位の誤差がありました。
おじさま、そろそろ買い替えてはいかがですか?
スマホに。

狸穴は通らずに
赤羽橋駅に向かいます。
赤羽橋ですって⁉
都営地下鉄⁉
チャコ、東京メトロの24時間切符しか持ってません。

途中の熊野神社の階段です。
keDSCF6734.jpg
ちょうど、お祭りをしていました。
山の手と下町の境の
江戸情緒です。
◆×◇ チャコの階段物語 ◇×◆ | トラックバック:(0) | コメント:(0) |permalink
<< back | ホーム | next >>