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実夏の あっ地こっ馳 紀行

ご注意;★このブログの登場人物はフィクションです。
●9月7日  小樽入港
●9月7日  小樽入港

 最終日、海はべたなぎだった。空はよく晴れていた。青くて高い北国の秋の空が、成層圏の先まで抜けていた。
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 朝ご飯を食べているうちに、もう小樽の街並みが見えてきた。
「実夏~、降りたくないよぉ」
「お姉ちゃん、あたしも~」
二人のママの前で、あたしたちは甘えてみた。
「はいはい、あとはお金貯めて、自分たちで好きなだけクルーズしなさい。世界一周でも二周でも」
 弥生ママがあきれる。
 最終日の朝食だ。
 あたしと夏実お姉ちゃんはハイ・ウェストの服に着替えた。あたしがジャンスカ、お姉ちゃんがワンピース。ウェストが緩やかだから、いくら食べても大丈夫。
「これ以上緩いデザインだと、マタニティーになっちゃう」
というぎりぎりのラインだ。さあ! 食べよう。育ち盛りの女子高生の食欲フルスロットル! しかも、双子だよ!!
 まずは、7階のダイニング「春日」に行く。夜は上級キャビンのお客さんしか入れない食堂だけど、朝ならあたしたちのような一般客も入れる。
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 春日のメニューは、フレンチトーストに卵、ベーコン、クラムチャウダーだった。卵は、オムレツ、目玉焼きだね、ゆでたまごから選べる。お姉ちゃんは目玉焼き、あたしはオムレツ。チーズをトッピングした。
 ゆっくりと動く小樽の海岸を見ながら、ペロッと食べた。
「実夏、瑞穂に行くよ!」
「オッケー!」
 階段を駆け下りて、2階のメインダイニング「瑞穂」に入る。まずは、基本の和定食の席に座る。
 カボチャの味噌汁。焼いたベニザケ。ベイクドポテト。湯葉。切り干し大根。厚焼き玉子。量じゃないんだよ。味わって食べようね。
 「瑞穂」では、和定食だけでなく、洋食のビュッフェもある。
 ロシア風ポテトのおやき、カボチャのサラダ、鶏のレバニラ炒め、フルーツ、パン。トレーに山もりしてきたあたしたちを見て、さすがのさくらママも、
「あなたたち、いい加減にしなさい」
とあきれる。
 カボチャのサラダの素材は北海道産らしい。例の、北海道の型に抜いたジャガイモも入っていた。最後は、にっぽん丸特性のビーフカレーで締め!
 ふう。現役女子高生の食欲、なめ、る…な…よ。って、食べすぎちゃったかな。

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 にっぽん丸は、ゆっくりと小樽港に入っていった。船首をそのまま陸側に向けて接岸した。岸壁には、小樽港の関係者が「ようこそ小樽へ」という横断幕を掲げて待っていてくれた。帰ってきたよ。ただいま。
 港に着いて、小樽の出入国管理官が乗り込んできた。おとといの夕方と同じように、ドルフィンホールでCIQが始まった。
 船に預けていたパスポートを返してもらって、出入国管理官の前に進み出る。「おかえりなさい、お嬢さん」
若い管理官が笑顔を見せてくれた。
「ただいま」
「いい旅でした?」
「はい。いろいろ勉強になりました」
「よかったですね。私もいつか行ってみたいな」
 きっと行けますよ。っていいたかったけど、そこまではさすがに女子高生の立場ではいえなかった。
 形通りの税関と検疫がある。
 税関は何の問題もなかった。ユジノサハリンスクのシティー・モールで、免税範囲の20万円を超えるショッピングなんか、できっこない。ダーチャの庭で拾ってきた木の枝は、船内で処分した。だから検疫も問題ないはずだ。健康申告カードにも、何もチェックする項目はなかった。けれど、夏美お姉ちゃんが検査官に呼び止められた。
「お嬢さん、ちょっと、顔色が」
 みると、いつもと違って赤い顔をしていた。額には玉のような汗がにじみ出ている。どうしたの! 発熱? 下痢? 心配するあたしの後ろで、さくらママがあきれた顔をして、代わりに答えた。
「食べ過ぎです、この子。早くトイレに行ってらっしゃい」

 港から小樽駅までは、ゆっくりと歩いて坂を登っていった。
「振り向くとにっぽん丸が見えちゃうから、前を向いて歩こう!」
夏美お姉ちゃんが声をかけた。さっきまで、赤い顔してうなっていたくせに。
 新千歳空港へ行く列車の窓から、小樽港が見える。建物と建物との間に、にっぽん丸の赤い煙突がちらちら見え隠れする。今度はいつ会えるのかな。また江の島に来てくれるかな。
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《建物と建物との間に、にっぽん丸の赤い煙突がちらちら見え隠れする》
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