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実夏の あっ地こっ馳 紀行

ご注意;★このブログの登場人物はフィクションです。
■  9月6日  サハリン = ダーチャ村を後にした
 マイクロバスは、雨上がりの路肩にはまっていた。エンジンをふかしても進まない。
「降りて押そうか」
 ツアー客の男性が声をかけた。
「そうよ、あたしたちでも押せばなんとかなるわよ」「軽くしたほうがいいんじゃないかしら」
 女性の客が続ける。
「…ねえ、立柳さん、バスを降りるって通訳してくださる?」
 立柳さんは、不安げな表情で成り行きを見守っていた。バスが動かないのは困るけれど、無茶をしてお客さんが怪我でもしたらもっと困る。それでも、お客さんの依頼には「ノー(ニェットかな)」といわないのがにっぽん丸だ。立柳さんは、何度目かのトライを終え、アクセルを放した運転手さんに何か話しかけた。たぶん「お客さんが押すといってますけど…」と言ったのだろう。
運転手さんがロシア語で立柳さんに答えた。立柳さんがぷっと吹き出した。不安げな顔が笑顔になった。
「なんていってますの?」女性客が聞く。
「降りないでください。ロシア人の名誉にかけて、動かします」
10分もしないで、ロシア人の名誉は回復された。マイクロバスはダーチャ村を後にした。

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 《マイクロバスは、雨上がりの路肩にはまっていた》
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