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実夏の あっ地こっ馳 紀行

ご注意;★このブログの登場人物はフィクションです。
■  9月6日  サハリン = ダーチャの守り神

 温室の中にはトマトがていねいに育てられていた。小さな池もあった。さすがに池には魚がいなかった。でも、小さな丸い石に色を塗って作ったテントウムシを何匹も飾っていた。
「浜に行って、きれいな石を探して、色を塗るんだ。ダーチャの守り神さ」
とアナトリーさんが笑う。
 手作りのテントウムシ。こんなかわいいお土産、世界中探してもゼッタイない。にっぽん丸のショップにも、新千歳空港の出発ロビーにも売っていない。それどころか、横浜や代官山の雑貨店にだってありはしない。アナトリーさんのダーチャに来たという、ただひとつの記念だ。あたしはどうしても欲しくなって、つい、
「一つ、いただけませんか?」
と日本語でいってしまった。
 なぜだろう。あたしの表情だろうか。日本語の意味が通じた。アナトリーさんの顔が険しくなった。
「これはだめだ…」
 ニェットというロシア語の万能句は、あたしにもすぐにわかった。そうだよね、厚かましすぎるよね。お金で買ってもいいんだけど、それって、ロシアでは失礼なのかな? 立柳さん、どこにいるんだろう? 教えてください。
 そんなふうにあたしが思い悩んでいる間に、アナトリーさんは小屋のほうに向かっていった。怒らせちゃったのかな? ヒグマを撃つ猟銃とか、薪を割る斧とかを持ってきたら、どうしよう。た、立柳さん、助けてください⁉

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《ダーチャの守り神さ》
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